私たちの「食」を支える、農業。
なによりも大切なもののひとつである産業ですが、
いま日本の農業は高齢化や後継ぎ問題など、様々な問題が山積みになっています。
収益性、生産性の低さから非効率の極みのように言われる日本の農業。
相手は生き物ですから、1日でも手を抜いてしまったらその年の収穫予定が
パアになってしまうことだってあり得ます。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、夏ノ暑サニモマケズ…と
まるで宮沢賢治の世界のような印象を持たれているのが、現状です。

そんな日本の農業は、ハイテク技術からは最も遠い存在。
そう決めつけていませんか?

「日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活」は、
そんな思い込みを真っ向から否定する書です。

著者は、明治大学文学部を卒業後、日本農業新聞に入社。
記者として8年間、農業政策、農業ビジネスを農村社会の現場をレポートし続け、
退社後はフリーランスとして食と農の取材を続け、2014年にはアメリカ国務省の
「インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム」に招待され、
アメリカ農業の現場を視察した人物。

本書では、高齢化や農家の減少といった大変な課題を抱える日本の農業が、
いま急速にIoTやAI取り込みつつあるということ、
またそれが21世紀の日本の農業にとってなくてはならないものである、
ということが具体的に示されています。
先に示したように、暗い話題が多くなってしまう農業の問題ですが、
本書では未来の農業が明るく描かれており、読んでいてワクワクしてくるほど。

伝統的な産業をIoTがどう変えていくのが、どう共存していくのか、
というのは農業に関わらず、どの産業でも課題になるもの。
農業に関わらず、IoTに関わる人は一度は目を通しておいて間違いない一冊です。

(via 講談社)